ブランドコアバリューから再設計したWeb戦略 — 5ヶ月で可視化した地域価値
- 深沢 光

- 2025年12月20日
- 読了時間: 9分
山形アルミサッシ工業様は、山形県を拠点に、窓・玄関・断熱リフォームなど住まいに関わる事業を50年以上手がけてきた地域密着型の企業です。
一方で、事業の多くがBtoBや既存顧客からの紹介に支えられてきたため、
・自社の強みや価値が言語化されていない
・Webサイトが「会社の想い」や「選ばれる理由」を十分に伝えきれていない
という課題がありました。
これからの時代を見据えたとき、
・生活者との直接的な接点(BtoC)の強化
・若い世代にも伝わるブランド表現
・社内外で共有できる“判断軸”の明確化
が重要なテーマとして浮かび上がってきました。
山形アルミサッシ工業様のフィールドリサーチから、デザインラボでは単なるホームページ制作ではなく、がこれからの時代に「どんな価値を、誰に、どのように届ける会社なのか」を明確にするための、ブランド基盤構築プロジェクトとして本支援をご提案いたしました。
1. なぜ「パーパス・MVV」から始めたのか
本プロジェクトにおいて、デザインラボが最初に取り組んだのは、山形アルミサッシ工業様がこれまで大切にしてきた価値や姿勢を整理し、これから先も変わらず拠り所となる“軸”を明確にすることでした。
同社は、長年にわたり地域に根ざし、住まいに関わる仕事を通じて多くの信頼を積み重ねてきました。その一方で、事業の中心はBtoBや既存顧客からの紹介が多く、「自分たちは何を強みに、どのような価値を提供している会社なのか」「これから先、誰に向けて、どのような存在でありたいのか」といった点が、言葉として明確に整理されている状態ではありませんでした。
これからBtoCへの接点強化や、次世代にも届く発信を考えたとき、ロゴやホームページを先に整えてしまうと、表現が場当たり的になり、結果としてメッセージにブレが生じてしまいます。そこで、まず“判断の基準となる言葉”をつくることが不可欠だと考えました。
パーパス(存在意義)とMVV(Mission・Vision・Value)は、単なるスローガンではありません。社外に向けたブランドメッセージであると同時に、「どのような仕事を引き受けるのか」「どのような伝え方を選ぶのか」「どの方向に会社を進めていくのか」といった日々の意思決定を支える、経営の判断軸そのものです。
策定にあたっては、創業の背景、地域との関係性、現場で大切にされてきた姿勢、施工や対応に込められてきた想いを丁寧に整理しました。その中で浮かび上がってきたのは、「住まいの快適さを支えることで、地域の暮らしを静かに支え続ける存在でありたい」という一貫した価値観でした。
この価値観を軸にパーパスとMVVを言語化することで、山形アルミサッシ工業様は「何をしている会社か」だけでなく、「なぜその仕事をしているのか」「どんな姿勢で向き合っているのか」を、自分たちの言葉で語れる状態になりました。
このブランドの土台が整ったからこそ、ロゴやトーン&マナー、そしてWebサイトの設計においても、表現に一貫性を持たせることができました。パーパス・MVVは、本プロジェクト全体を貫く起点であり、今後の事業展開においても活かされ続ける基盤となっています。

2. パーパス・MVVを“形”にするためのロゴ・トーン&マナー設計
パーパス・MVVによって、山形アルミサッシ工業様が大切にしてきた価値や姿勢が言語化された後、次に取り組んだのが、それらを視覚的にどう表現するかという設計です。重要なのは、言葉になった価値が、見た瞬間に伝わる状態をつくることでした。
ロゴは、企業の象徴であり、最も長く使われ続けるブランド要素のひとつです。そのため今回のロゴ制作では、流行や一時的な印象に左右されることなく、これから先も変わらず使い続けられる普遍性を重視しました。意識したのは、「主張しすぎないが、確かにそこに在る存在感」。これは、山形アルミサッシ工業様がこれまで地域で果たしてきた役割そのものでもあります。
ロゴは単なるマークではなく、パーパスで定義した「住まいの快適さを支え、暮らしを静かに下支えする存在」であることを、形として定着させるための記号です。過度に装飾的な表現を避け、安心感や信頼感、長く寄り添う姿勢が感じられるバランスを大切にしています。
同時に設計したのが、トーン&マナー(トンマナ)です。トンマナは、ロゴ単体のルールではなく、Webサイト、写真、色使い、文字のトーン、言葉遣いに至るまで、ブランド全体の「温度感」を統一するための設計図です。
例えば、色は強さや派手さではなく、暮らしに溶け込む落ち着きと信頼感を重視しました。写真表現においても、施工事例を誇張するのではなく、「人の生活が感じられる視点」を大切にしています。言葉のトーンについても、専門性を押し出しすぎず、生活者が安心して相談できる距離感を意識しています。
このトーン&マナーを整えることで、ロゴ、Web、今後制作されるチラシや資料、さらにはSNSや採用コンテンツに至るまで、どの接点でも同じ印象を持ってもらえる状態をつくることができます。それは、ブランドの一貫性を保つだけでなく、社内での発信や判断をスムーズにする効果も持ちます。
パーパス・MVVという「言葉の軸」があり、それをロゴとトーン&マナーという「視覚の軸」に落とし込む。この二つが揃ったことで、山形アルミサッシ工業様のブランドは、初めて“使い続けられる形”として整いました。
この基盤があったからこそ、次のステップであるWebサイトの設計やSEO対策においても、メッセージや表現に迷いが生じることなく、一貫した設計が可能になりました。ロゴとトーン&マナーは、本プロジェクトにおいて価値を可視化するための要であり、今後の事業展開を支え続ける土台となっています。

3. ブランド基盤を土台に設計したWebサイトとSEO戦略
パーパス・MVVを言語化し、ロゴとトーン&マナーによって視覚的な一貫性を整え、Webサイトの設計に着手しました。この段階で意識したのは、「Webサイトを新しくすること」ではなく、ブランド基盤を正しく機能させるための“受け皿”をつくることでした。
Webサイトは、単なる会社案内ではありません。生活者や取引先が最初に山形アルミサッシ工業様と出会い、価値を理解し、安心して問い合わせをするまでの“体験の入り口”です。そのため、デザインや情報構成はすべて、これまで整理してきたパーパス・MVV、ロゴ、トーン&マナーと矛盾しない形で設計しています。
まず取り組んだのが、情報設計と導線の再構築です。誰に向けたサイトなのか、どのような悩みを持つ人が訪れるのかを整理し、「初めて訪れた人でも、自分ごととして理解できる流れ」を重視しました。専門性を前面に出しすぎるのではなく、暮らしの中の課題に寄り添いながら、自然とサービス内容や強みが伝わる構成としています。
同時に、SEOの観点からも設計を行いました。SEO対策というと、キーワードを詰め込む施策をイメージされがちですが、本プロジェクトではブランドの考え方と検索意図を一致させることを重視しています。地域名やサービス内容といった検索ニーズを丁寧に整理し、それぞれのページが「誰の、どんな課題に応えるページなのか」が明確になるよう設計しました。
これにより、検索エンジンに評価されるだけでなく、訪れたユーザーにとっても分かりやすく、納得感のあるサイト構造が実現しています。また、トーン&マナーに基づいた文章表現や写真の使い方により、SEOのために無理に情報を増やすのではなく、必要な情報を適切な温度感で届けることを意識しました。
Webサイト全体を通して目指したのは、「相談する前から信頼が醸成されている状態」です。施工事例や会社紹介、サービス説明のすべてが、パーパスで定義した価値観とつながることで、山形アルミサッシ工業様の姿勢が自然と伝わる構成になっています。
このように、ブランド基盤を土台にWebとSEOを設計することで、単発の集客施策ではなく、継続的に価値を伝え続ける仕組みが整いました。Webサイトは完成がゴールではなく、今後のBtoC展開や情報発信、さらには採用や新たな事業展開にも活用できる基盤となっています。
今回のWebサイトとSEO戦略は、これまで積み重ねてきたブランド設計を“実際に機能させる段階”であり、山形アルミサッシ工業様の次の一歩を支える重要な役割を担っています。
4. ブランドコアバリュー成果と、これからの展望
本プロジェクトは、約5ヶ月間にわたり、パーパス・MVVの策定からロゴ・トーン&マナー設計、WebサイトとSEO戦略までを一貫して行う取り組みでした。その成果は、単に新しいロゴやWebサイトが完成したという点にとどまりません。
最も大きな成果は、ブランドコアバリューが社内に浸透し、社内外に向けた説明や発信に一貫性が生まれ、これまで暗黙知として存在していた強みや姿勢が、明確な“共通言語”として整理されました。
ブランド基盤が整ったことで、ロゴやWeb、文章表現に迷いがなくなり、今後どのような施策を行う場合でも「判断の軸」が明確になっています。これは、日々の業務やコミュニケーションだけでなく、将来的な事業展開や人材採用においても、大きな意味を持つ成果です。
Webサイトにおいては、情報設計とSEO戦略をブランドの考え方と結びつけることで、検索エンジン対策とユーザー体験を両立した構造が実現しました。単発的な集客を狙うのではなく、地域の生活者が必要なタイミングで自然とたどり着き、安心して相談できる“入り口”として機能する土台が整っています。
これからの展望としては、このブランド基盤とWebサイトを起点に、より生活者との接点を広げていくフェーズに入っていきます。BtoC向けの情報発信、施工事例やストーリーの蓄積、地域に根ざした取り組みの可視化など、発信の幅は今後さらに広げていくことが可能です。
また、今回整理したパーパス・MVV、ロゴ、トーン&マナーは、Webだけで完結するものではありません。チラシやパンフレット、SNS、採用活動など、あらゆるタッチポイントに展開することで、ブランドとしての一貫性を保ちながら、長期的に価値を育てていくことができます。
デザインラボでは、Web制作やロゴ制作をゴールとするのではなく、企業の価値が時間とともに伝わり続ける仕組みをつくることを大切にしています。今回の山形アルミサッシ工業様の取り組みは、その考え方を実践した一例であり、今後の成長と挑戦を支えるための“土台づくり”でもあります。
この5ヶ月間で整えたブランド基盤が、これから先の事業や人のつながりを支え、地域にとって欠かせない存在として歩み続けていかれることを、私たちも楽しみにしています。



