今回、中小企業経営層のための「デザイン」ブログでは、デザインラボの4つの専門分野を活かしたマーケティング戦略の視点から、ランチェスター戦略とグー・パー・チョキ理論を組み合わせた効果的なアプローチについてご紹介します。
ランチェスター戦略
ランチェスター戦略は、市場競争における企業ポジションに応じた効果的な戦略選択の理論です。この戦略は、第一次世界大戦時のフレデリック・ランチェスター氏が提唱した戦闘法則を基に発展し、日本では田岡信夫氏によってビジネスに応用されました。ランチェスター戦略では、「強者の戦略」と「弱者の戦略」に分類されます。
強者の戦略(第2法則):
市場シェア26.1%以上の企業が採用
集団戦や広範戦を想定
攻撃力は「武器効率(質))×兵力数2乗(量)」
弱者の戦略(第1法則):
市場シェア26.1%未満の企業が採用
一騎打ちの状態を想定
攻撃力は「武器効率(質)×兵力数(量)」
ランチェスター戦略には3つの重要なグランドルールがあります
ナンバーワンを狙う: 特定の市場・分野で圧倒的な1位(相対的安定シェア41.7%以上)を目指す。
一点集中主義: 自社の強みがある特定の領域(商品・サービスカテゴリ、販売地域、客層など)に絞り達成まで集中する。
足元の競合を対象: 上位ではなく、下位の競合からシェアを奪うことで効率的に成長する。
この戦略の実践には、「7つのシンボル目標値(クープマン目標値)」が目安となります。
73.9%: 独占市場シェア(上限目標値)
41.7%: 相対的安定シェア(安定目標値)
26.1%: 強者の最低条件(下限目標値)
19.3%: 弱者が強者を目指すため当面目標とする数値(上位目標値)
10.9%: 本格的競争に突入する市場全体に影響を与える数値(影響目標値)
6.8%: シェア争いが本格化前のセールスに注力or撤退数値(存在目標値)
2.8%: 市場参入時に最初の一歩を成し得たか判断する数値(拠点目標値)
また、ランチェスター戦略の実務体系は以下の4つに分類されます。
地域戦略
商品(サービス)戦略
販売戦略
広告戦略
ランチェスター戦略の主なメリットは以下の通りです。
弱者でも強者に勝てる可能性がある
取るべき策が明確になる
ランチェスター戦略は、特に中小企業やスタートアップ企業にとって有効な戦略です。市場を絞り込み、自社の強みに特化することで、大企業との競争においても勝機を見出すことができます。この戦略を効果的に活用するためには、まず自社の市場におけるポジションを正確に把握し、強者と弱者を明確に識別することが重要です。その上で、適切な戦略を選択し、一貫性を持って実行することが成功への鍵となります。
グーチョキパー理論
ランチェスター戦略は、におけるグー・パー・チョキ理論は事業発展の3つの段階を表現しています。
グー(集中)段階
ランチェスター戦略の「弱者の戦略」を採用
特定のニッチ市場や地域に集中し、局地戦や一点突破を活用
市場分析を徹底し、企業の強みを最大限に活かせる領域を特定
パー(分散)段階
成功した事業モデルを基に、新たな市場や製品ラインへ展開
コアバリューを維持しつつ、新規市場に適応したブランド戦略を展開
チョキ(選択と集中)段階
成功した事業に経営資源を集中し、不振の事業は整理
顧客体験を最適化し、主力事業の競争力を強化
グー・パー・チョキ理論を組み合わせることで、より効果的なマーケティング戦略が有効となります。
市場分析と戦略選択
「フィールドリサーチ」から「ビジネスデザイン」アプローチを活用し、各段階に適した戦略を選択します。グー段階では局地戦や一点突破、パー段階では市場拡大、チョキ段階では選択と集中を実施します。
ブランディングの最適化
各段階に応じたブランディング戦略を展開します。グー段階ではニッチ市場でのユニークな価値提案、パー段階では新規市場への適応、チョキ段階では主力ブランドの強化に注力します。
UXデザイン設計の進化
顧客体験を段階ごとに最適化します。グー段階では特定顧客層のニーズに特化したUX、パー段階では多様な顧客層に対応するUX、チョキ段階では主力事業の顧客体験を徹底的に磨き上げます。
市場での立ち位置を正確に把握し、各段階に適した戦略を選択・実行することで、持続的な成長と競争優位性の確立が実現できます。この統合的アプローチにより、デザインラボはクライアントの成長段階や市場ポジションを考慮しながら、最適な「デザイン」を提供し、クライアント様の事業の成功に貢献しています。
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