アルマーニのデザイン思想
- 深沢 光
- 4月27日
- 読了時間: 2分
更新日:4月29日
ジョルジオ・アルマーニは、イタリア・ミラノを拠点に世界のファッション界を牽引してきたデザイナーです。1970年代後半、アルマーニは従来の堅苦しいスーツの構造を解体し、しなやかで軽やかな「ソフトスーツ」を生み出しました。朝昼晩いつ来てもいいし、シニアでも若者が来てもよく、従来の服の区分を取り払いました。これは映画『アメリカン・ジゴロ』でリチャード・ギアが着用し、一躍世界的な注目を集めます。
役割や枠組みを超える服
アルマーニの服は、着用する人を美しく見せるだけでなく、社会の中で与えられた役割や枠組みを超え、自分自身の意志や感情を投影できる場として、ファッションを再定義しました。ファッションショーに登場するモデルの所作も、貴族的な振る舞いではなく、日常の中産階級の自然な仕草を演出することで、より多くの人が自分を重ねられるリアリティを追求しています。
ファミリーフィーリング
アルマーニのコレクションには、ブランドに関わるすべての要素が、一貫した世界観(ファミリーフィーリング)が感じられます。これはブランドとしてのアイデンティティと安心感を生み出しているために、毎シーズン流行を追いすぎるマーケティング戦略を組む必要が有りません。アルマーニは世界中の都市や映画、アートから着想を得つつも、常に「アルマーニらしさ」を守り続けてきました。
フィルムとアート
アルマーニがデザインのインスピレーションを強く受けていたのは、マレーネ・ディートリッヒやグレタ・ガルボやといったミステリアスで、中性的な美しさと自由な生き方を表現したミューズやフィルム・ノワールでのハンフリーボガードでした。イタリア現代美術や写真、建築といった幅広いアートも、ブランドの世界観を形作る要素となっています。
デザインが社会を変える
アルマーニは、単なる衣服の枠を超え、「社会のあり方」そのものに問いを投げかけ、世界に衝撃を与えました。服を通じて人々の生き方や価値観を解放して社会をデザインする。アルマーニのデザイン思想は、デザインを通じて社会に与えるインパクトの大きさを示唆しています。
